2026.10.28

社員インタビュー動画の質問を設計する

社員インタビュー動画で具体的な仕事を伝えるには、質問の作り方が重要です。「やりがいは何ですか」だけで終わらず、実際の場面と判断を聞いてみましょう。候補者の判断材料を集める質問設計と、編集時の確認方法を紹介します。

結論・要点

聞きたい結論ではなく、経験した場面から質問を始めます。会社の良さを言ってもらうために誘導するのではなく、何を担当し、どこで迷い、誰と進めたかを確かめます。抽象的な答えが出ても、具体的な出来事を追加で聞く構成を提案します。

自然に話してもらうことと、準備をしないことは同じではありません。扱う仕事や質問の意図を事前に共有し、答えにくい内容を避けられるようにします。本稿は質問設計を扱います。出演者の選定や撮影協力の調整とは分けて進めてください。

背景:説明の不足はどこにあるか

「やりがい」「社風」「成長」といった問いは、答えの幅が広くなります。社員が会社の紹介文に近い言葉を選ぶと、実際の仕事が見えないまま終わることがあります。質問が悪いと決め付けず、場面を思い出す補助を加えることから始めます。

また、制作側が先に理想の回答を決めると、社員の経験がその形に合わせられてしまいます。質問票に模範解答を並べるより、確認したい事実を書きましょう。何を聞ければ採用する側の説明が具体的になるかを、企画の段階で整理します。

英国の人事専門機関CIPDは、従業員の経験や候補者との接点を踏まえた発信を提案しています。本稿の手順は編集部提案であり、日本の採用動画の効果を実証するものではありません。

参考資料:CIPD「Activating your employer brand to recruit and retain in a challenging climate」

具体的な進め方

ステップ1:最近の仕事を時系列で聞く

話せる範囲の業務を一つ選び、始まり、本人の担当、判断、連携、振り返りの順に聞きます。大きな成功談を探す必要はありません。日々の仕事にも、役割や相談方法を説明する材料があります。公開できない顧客情報などが含まれないよう、事前に範囲を確認します。

感想の後に、具体的な行動を聞きます。「やりがいがあった」という答えなら、何を担当し、どの場面でそう感じたかを尋ねます。本人がうまく言葉にできないときは、制作側が意味を決めず、話せる別の場面へ移る方法もあります。

事前の聞き取りでは、撮影で話してもよい出来事を本人に選んでもらう形を検討します。台詞を暗記してもらうためではなく、守秘や個人情報の確認と、話しやすい範囲の共有が目的です。話す内容が当日に変わった場合も、後から事実を確認する余地を残します。

ステップ2:難しさと支援を対で聞く

以下は編集部提案の質問変換表です。抽象質問を禁止するものではなく、答えを具体化する追加質問の例です。本人が経験していない内容や、答えたくない内容は扱わない前提で使ってください。

難しかったことを聞く場合は、誰かの失敗を掘り下げる方向にしないようにします。仕事上の判断や学び方を説明するために、どこで迷い、何を確認したかを聞きます。助言や資料を使った場合は、その支援が現在もあるかを別に確かめます。

質問の言い方は中立にします。「上司が助けてくれましたよね」では、肯定する答えを求める形になります。「その後、どう進めましたか」「誰かに相談しましたか」と分けて聞き、相談しなかったという答えも受け止められるようにしましょう。

抽象的な質問追加する質問の例確認する事実
やりがいは何ですかどんな作業をした時に感じましたか担当範囲と場面
成長できましたか以前と今で変わった行動は何ですか経験した時点
社風はどうですか最近相談した場面を教えてください個人経験と全社制度の区別
大変なことは何ですかどう確認して進めましたか難しさと使った支援

ステップ3:編集後の意味を確認する

発言を短くする際は、主語、時点、対象となる仕事が消えていないかを確認します。特定の部署での体験を全社の制度に見せたり、過去の経験を現在の状態に見せたりしないことが大切です。字幕や見出しも含めて、元の意味と照合します。

回答しない、使わないという選択肢を残します。撮影後に説明の範囲を確認したい場合の連絡先も共有します。公開の可否や許諾の扱いは、社内の確認担当と整理してください。ここでは法律上の判断ではなく、本人の意図を確かめる制作の手順として提案しています。

確認時は「問題ありませんか」と完成動画だけを送るより、仕事の説明、個人の経験、字幕の意味など確認してほしい点を添えます。本人の感想を会社の公式説明へ変えた箇所があれば、別の事実確認が必要です。話者一人に制度の正しさまで背負わせないようにします。

架空例で考える

架空例として、「周囲に助けてもらえる会社です」という回答を考えます。聞き手は「どんな時に誰へ相談しましたか」と追加します。社員が資料作成の相談を挙げたら、何に迷い、どの助言を受けたかを聞きます。

編集部の提案例では、「協力的な社風」という見出しだけでまとめず、資料を確認してもらう仕事の場面を補います。本人が話していない感情や成果は加えません。質問から具体的な情報を集める架空例であり、採用への効果を示すものではありません。

よくある失敗

感動的なエピソードを求めすぎると、日常の仕事が脇に置かれます。候補者に必要なのは、どんな役割を持ち、どう仕事を進めるかという情報でもあります。大きな成功がなくても使えるよう、通常の業務を説明する質問を用意しておきましょう。

もう一つは、話し言葉を整える過程で本人らしさまで消すことです。言いよどみを整理することと、意味を強めることは違います。「自分はそう感じた」を「この会社はそうだ」に置き換えないよう、元の発言と編集後の表現を見比べてください。

まとめ

社員インタビューは、仕事の具体的な経験を聞く場にします。出来事、行動、判断、支援を分けて聞き、個人の感想と制度の説明を混ぜないようにしましょう。公開前には、編集によって意味が変わっていないかも確かめます。

まずは予定している質問を一つ選び、変換表を使って追加質問を作ってください。答えてほしい言葉ではなく、確認したい仕事の場面が書ければ、社員と共有する質問票の土台になります。

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